稲沢市議会議員のしちおうです。
年に一度、稲沢市議会では所属する委員会(議案を専門に審議する部会のことで、私は現在経済建設委員会に所属している)で先進地視察に行きます。
先日、その視察が行われたので、報告します。なお、この費用の原資は税金であるため、しちおうは当選以来ずっとブログで視察内容をまとめています。
埼玉県越谷市:トイレトレーラー
今回のテーマは、災害時の避難所における「トイレ環境の改善」です。実際に越谷市が導入しているトイレトレーラーを見学して、担当職員の方から詳しく話を聞いてきました。


越谷市はネギ鍋が有名で、ゆるキャラのがーやちゃんがお出迎えしてくれました。でかい!
導入の背景
地震や豪雨などの災害が起きると、避難所では断水によって水洗トイレが使えなくなります。それでもトイレを使わざるを得ないため、便器の中には排泄物が溜まり、臭いや不衛生さが一気に広がっていきます。
そもそも、避難所のトイレは、暗い、寒い、数が足りない、男女共用でプライバシーが守られないなど、さまざまな問題があり、特に女性や高齢者、障がいのある方にとって大きな負担になります。
越谷市がトイレトレーラーを導入した背景には、こうした「避難所のトイレ問題を何とかしたい」という問題意識がありました。


トイレトレーラーの規格と費用
越谷市が導入しているトイレトレーラーは、4つの洋式個室を備えた移動式トイレです。
給水はタンクやホースで行い、汚物はバキューム方式で回収。
水や電気が止まった状況でも、充電式バッテリー、太陽光発電ですぐに使用できます。
容量は、1人が1日に5回程度トイレを使うと仮定すると、約13,000回分の使用が可能でした(2日に1回程度の汚物処理が必要)
導入費用は、約2,000万円。
(国の緊急防災・減災事業債を活用し、市の実質負担は1/3の約750万円)
越谷市は2021年に海外製のトイレトレーラーを導入しました。当時は海外製のものしかなく、高価かつメンテナンスに難を抱えていましたが、現在は日本製のものもあるそうです。
運用面の課題としては、牽引式のトイレトレーラーであるため、牽引免許が必要です。
特徴
個室は一般的なトイレ並みの広さで、プライバシーも確保されています。換気扇や清掃用の排水口もあり、長期間の使用でも衛生状態を保ちやすい設計になっていました。
充電式バッテリーやソーラーパネルも備えており、数か月に及ぶ避難生活でも使い続けられる点は大きな強みだと感じました。
導入後すぐに能登半島地震があり、援助で貸し出しをしていたそうで、平常時は地域で力を入れている”いちご農園”に常設し、催事や災害時に出動しているそうです。
災害時のネットワーク
担当職員の方が強調していたのが、「一自治体がトイレトレーラーを一台持っていても、災害時には全く足りない」という現実でした。そこで越谷市は、災害派遣トイレネットワークに加盟し、加盟自治体同士でトイレトレーラーを融通し合う仕組みをつくっています。
視察を通じて感じたこと
災害時の避難所のトイレは、汚れている、暗い、女性や高齢者、障がい者に配慮がない、数が少なく混んでいるなど、被災によって疲労した心身に追い打ちをかけるような環境に置かれています。
近年、地震以外にも自然災害が激甚化する中で、気兼ねなくトイレに行ける環境をつくることは、排泄を我慢することで生じる体調不良や災害関連死を防ぐためにも意味のある事業だと感じました。
ただ、実際に越谷市の職員から聞き取りをして感じたのは、トイレトレーラーのみの配備では機能せず、給水車、し尿をくみ取る車も合わせて考えなければ、持続可能な運営ができないということ。
また、一自治体で一台のトイレトレーラーを配備するだけでは被災者、支援者まで全員分のトイレを準備、速やかに提供するには限界があるということでした。
トイレトレーラー。あった方が良いし、必要なんですけど、それだけで災害時のトイレ事情は解決しないんですよね。ですから、マンホールトイレの設置など、トイレトレーラー以外の対応も市内で複合的に整備すると同時に、広域でネットワークをつくり、自治体間で助け合う仕組みをつくることが重要だと感じました。
つづきます。


