部活動の地域移行の主役は児童生徒のみでなく全市民〜静岡県静岡市のしずおか地域クラブ活動〜

しちおうの政策

稲沢市議会議員のしちおうです。
一泊二日で会派の行政視察に行かせてもらいました。これは、議会内で志を共にするグループである「会派」で先進的な取り組みをしている市町村を視察し、稲沢市政に生かすものです。

費用は税金である政務活動費を使わせてもらっているため、私は議員当選以来ずっと報告書の作成のみならずブログ等でその内容をみなさんにお伝えしています。


一日目の視察先は静岡県静岡市です。

静岡県静岡市:(仮称)しずおか地域クラブ活動

中学校の部活動は、少子化に伴う部員数や部活動数の減少、教員の働き方改革から大きな転換点を迎えています。
国の号令によって「中学生の部活動を地域クラブ活動へ転換する」よう言われていて、全国の市町村は急ピッチで準備を進めています。

稲沢市の場合、今年の2学期から一部の種目で休日の部活動を部活動指導員や地域のスポーツ・文化芸術団体による活動に移行、2026年2学期から全ての種目で休日の部活動を地域移行、いずれは平日にも広げていく方針でいます。

稲沢市部活動地域移行検討委員会 | 稲沢市


視察した静岡市は、2024年11月、部活動の地域移行を進める部局を立ち上げました。
これまで部活動は教育委員会が担当していましたが、市長部局に移設。これは部活動の地域移行は、児童生徒の部活動に留まらず、全市民にとってのスポーツ、教育、文化、生涯学習、まちづくりを考えることであるとの思いからでした。

当初、稲沢市と同様、2026年に休日の部活動を地域クラブ活動に移行。2030年には平日も部活動を終了し、全日展開することを考えていました。が、後述する理由から、2027年9月にすべての学校で部活動を終了し、地域クラブに転換するスケジュールに変更しました。

実証実験で見えてきた課題

静岡市は部活動指導員による部活動運営およびエリア制(拠点校を設けて、各校の児童生徒がそこに集まる制度)による合同部活動「シズカツ」を実証事業として進めてきました。しかし、実証実験によってさまざまな課題が見えてきました。

・平日と休日の部活動の違いが分かりづらく、責任の所在が曖昧であることで関係者が混乱

・保護者は活動量の多さや遠征による送迎、保護者会の仕事などで負担増

・従来の教員が担ってきた学校教育との連携、保護者対応などと同等の対応は困難

・校内に部活とシズカツが混在することで施設の利用調整が煩雑になる


簡単に言うと、これまでとは異なる新たな活動として始めたものの、これまで教員が担ってきた学校部活動の意識から抜け出せず、現場は大混乱であったそうです。静岡市はここでこの移行方法には無理があると判断し、一度すべての部活動を廃止した上で、ゼロから部活動とは異なる「平日および休日を一体的に捉えた新たなクラブ」を模索し始めました。

具体的には、地域クラブ活動を「これまでの部活動と同等レベルの活動」と、「もっと緩い活動」の2種類に分けました。

・指定種目クラブ(市が指定する全15種類のクラブ)

「もっと上手くなりたい」「楽しみだけだと物足りない」という人向け。民間企業、スポーツ団体、NPO法人などの運営を想定。→ こちらには市の補助金を出す。

・個別認定クラブ(市が認定するクラブ)

「チャレンジしてみたい」「友達と楽しみたい」
という人向け
。既存の趣味の団体、本事業を受けて新たに発足する地域の団体を想定。→ すでにボーリングや英語をしてみたいなどの問い合わせがあり、多種多様な種目になる見込み。

所感

静岡市は「シズカツ」という名の実証実験を行い、現場の混乱が発生したことから中断。新たな手法にこれから取り組む予定です。

実はこの「シズカツ」の手法は稲沢市が進めようとしている「いな活」の手法に酷似しています。つまり、稲沢でも同様の課題、混乱に直面すると思われます。その程度はおそらく、スポーツが盛んで政令指定都市である静岡市以上のものになるはずです。

同じ轍を踏まないように、稲沢市も静岡市のように市役所全体で取り組む(稲沢市は教育委員会のみが関与、特に学校教育課が主体で市長部局はおろか、スポーツ課や生涯学習課の関与が不充分に感じます)、移行期間において平日の活動と休日の活動を分けることによる弊害を知っておく、既存の地域のスポーツ・文化団体および企業の部活動をリストアップして協力を募るなど、今からできることを考えていく必要があると感じました。

部活動の地域移行は、これまでの部活動のイメージを持ったままでは実現できません。「授業が終わった後に自校で夕方まで行う」ものから、「授業が終わった後の夜に自身や保護者と共に拠点校に移動し、有料で参加する」習い事のように考えていく必要があるでしょう。

また、これまで教職員が担ってくれていたため、見えづらかった人件費も大きな問題です。試算ではこれまでの数倍の費用を要すると思われ、誰でも無料あるいは安価にスポーツや文化芸術に参加できる仕組みを維持するには相当な金銭的負担も伴います。

とは言え、部活動の地域移行は、児童生徒の部活動に留まらず、全市民にとってのスポーツ、教育、文化、生涯学習、まちづくりを考えるキッカケにもなるため、全市民で一丸となって環境を整えていけるように学んだことを市政に生かしていきたいと感じました。

議場で記念撮影。静岡市議会の建物は文化財に指定されており、素晴らしい建物でした。

二日目の視察に続きます。